靴を買うときは、自分の足のサイズより少し余裕がある方がいいと聞いた覚えがある。
物心ついたときにはすでにその選び方を知っていた。靴擦れもしにくいし、歩いていて楽だ。
ただ、一度だけ足のサイズとほぼ同じ靴を買ったときがある
ベージュ色のおしゃれなデザインの靴に一目惚れした。
人気なデザインだったのか、いつもの私が選ぶサイズがなく、ちょうど入る小さめのサイズしかなかった。
むくんだ足に合わせたから、大丈夫だろうと思い、その靴を買ってみた。
翌日、その靴を履いてみた。
最初は良い。でも、だんだん歩く度に爪先が痛くなる。痛みで止まりたくなる。
日を変えて履いてみても、やっぱり痛くなる。むくんだ足に合わせたはずなのに。
お気に入りの靴なのに履けなくて悲しかった。
結局、日常使いはできず、新しい靴を買った。
同じメーカーで違う色、今度はいつも通り余裕のあるサイズで。
その靴はとても歩きやすい。どれだけ歩いて疲れても、靴を履いて辛い、と思うことはないのだ。
やはりデザインもだが、サイズ選びも重要だった、と今さら実感する。
ベージュの靴は短時間の外出で時々履いている。短時間なら問題ない。
やはりデザインが好きで、履かない分綺麗なまま。好きなままで保たれている。
捨てるには勿体ないし、愛着がある。
そして、この靴を履くと等身大の自分を肯定できる気がするのだ。
余裕がある自分ではない。そんな取り繕えない自分でも、少しだけならその靴とともに歩き出せるかもしれない。
雨の日でも傘をさして少しだけ進めるかもしれない。
そして、いつか雨が止んで晴れたとき、その時はどこまでも歩ける、そんな余裕のある靴を選ぼう。
でも、今はまだベージュの靴で少し散歩するだけで良さそうだ。

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