エッセイ・読み物

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未完成の風景画

片づけた机の上。新聞紙を引いて、画用紙を取り出す。久しぶりに取り出した筆。少しだけ固い絵の具を、パレット代わりの陶器のお皿に出す。赤、黄、青。少しずつ筆にとり、水を少しだけ加えて、皿の空いた場所で混ぜていく。最初は幾何学模様のようだった色が...
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ゲームの腕前と引き換えに

私は一時期ドはまりしたゲームがある。それが某アクションシューティングゲームだ。実はこういったジャンルは操作が難しくて苦手だった。コントローラーで照準を合わせて相手を狙う。この単純な操作がかなり苦手だった。どうしても当たらないのだ。動かない的...
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濡羽色に染まる

知能も高いと言われる烏。外に出ると、よく見かける鳥だ。彼らの艶やかな翼に見惚れることがある。昔の人が濡羽色と表現した美しい黒色。日に当たれば光を反射して白く見えるはずなのに。青や紫がかった黒を残したまま美しく煌めく。どんなときでも存在感を放...
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9に変わるとき、「私」を知る季節

月の数字が9に変わる。まだまだ暑い日もあるが、秋に入ったなと感じる。まだ半袖でも過ごすことができる暑さ。しかし、なんとなく夏服は着にくく感じる。そこで私は秋の衣替え。それは上着を出すこと。私にとっての衣替えとは、重ね着の解禁だ。たとえ半袖、...
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色褪せないガラケー

久しぶりに帰省した。私の部屋には小さい頃から変わらず学習机が置いてある。今では、ここで机に向かうこともほとんどない。全然開けていなかった引き出しを興味本位で開けてみた。相変わらず中はぐちゃぐちゃ。片づけたつもりで押し込まれた物がたくさん詰ま...
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憧れたシルエット

昔は手放せなかったジーンズ。どんなトップスや季節にも似合う万能なズボンだと思っていた。そんなジーンズをここ数年は選ばなくなり、クローゼットに眠っている。昔はジーンズを履いておけば、とりあえず間違いはない、という気持ちがあった。ジーンズの色や...
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過去の敵影に不敵に笑え

私はとある人から言われた言葉をずっと覚えている。「お前に良いところなんてない。」頭の中で反響が止まない。もうずいぶん前のことだ。友人と話していたとき、友人が「あなたにもいっぱい良いところがあるよ!」と褒めてくれた。ただ、その会話を聞いていた...
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朝ごはん模索中、たまごと睨めっこ

目をこすりながら、冷蔵庫の前に立つ。私は今、窮地だ。冷蔵庫のど真ん中に鎮座するたまごと、目で語り合う。ご飯を作るのが面倒な時。私が頼りにしているのが、たまごだ。生卵でたまごかけご飯に醤油をかけたら秒で終わる。少しだけ油を強いて、そのまま割っ...
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猫の台座

まだ成長期だった頃。休日、親も気をつかって寝かせたままにしてくれた。なんか、お腹が重い。なんでこんなに苦しいんだ。寝たいのに苦しい。唸るような声を上げて精一杯の抵抗をしてみるが、びくともしない。気づけば軽くなり、そのまま眠った。その後、完全...
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ある劣等者の空想

「落ちこぼれ」なんて聞こえた。拾ってしまった音。でも、悲しくはなかった。だって、そんなの誰より自分が知っていたから。悲しいと思わない自分が、虚しかった。落ちこぼれ。そう言って、まだ何者でもなかった私に指をさしたのは、皮肉にも大人だった気がす...