濡羽色に染まる

知能も高いと言われる烏。外に出ると、よく見かける鳥だ。

彼らの艶やかな翼に見惚れることがある。

昔の人が濡羽色と表現した美しい黒色。

日に当たれば光を反射して白く見えるはずなのに。青や紫がかった黒を残したまま美しく煌めく。

どんなときでも存在感を放つ艶のある強い色。

ゴミを漁っているイメージのある彼らが、時に大群で優雅に空を羽ばたく姿は圧巻なものだ。

烏自体は怖いと思う。

そもそも近づいてくることは少ないが、近くで見ると意外と大きい。襲われるかも、と不安がよぎることもある。

そして何より、その引き込まれるような黒色の眼光は、時々何もかも見透かすような力強さすら感じる。

そんなたくましく、力強い濡羽色を見かけるたびに自分に問うのだ。

私は自分の色を持っているのだろうか、と。

そして、同時に憧れるのだ。

自分も何色にも染まらずに、美しい色を持てるなら、と。

そうすれば、誰かの影響を受けても、彼らのようにどんな日でも、力強く羽ばたいていけるのではないか。

太陽を浴びても、曇天でも、時に力強く飛び、時にアスファルトを堂々と歩く。

そんな一羽の濡羽色を見つけるたびに、その艶やかさがまぶしく感じる。

私の色は、すぐに変色していく。

相手の色をもらい、混ざりあい、新たな色になる。

色は、混ざれば混ざるほど黒に近づくはずなのに。

私の色は美しい黒にはならず、ただただ濁っていく気がするのだ。

だから、あの美しい濡羽色が羨ましい。

雨に打たれても、泥にまみれても、濁らずに美しく輝き続ける。あの惹きつける黒のような、凛とした強い色が欲しい。

私はこれからも変色をしていくだろう。

私もいつかあの濡羽色のように、美しい黒色に染まれるだろうか。

青空の日も風が強い日も、優雅に舞う濡羽色を見かけるたびに、考えてしまう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました