まだ成長期だった頃。休日、親も気をつかって寝かせたままにしてくれた。
なんか、お腹が重い。なんでこんなに苦しいんだ。寝たいのに苦しい。
唸るような声を上げて精一杯の抵抗をしてみるが、びくともしない。
気づけば軽くなり、そのまま眠った。
その後、完全に目が覚めた私に、親が笑いながら写真を見せてくれた。
そこには寝ぼけた私の上に乗っているどっしり猫の姿。
置物のように私のお腹の上に座っているではないか。
私のことを台座かなんかだと思っているのか。
思わずその原因に恨みがましく目を向けると、優雅に毛づくろいしている。
ちょっとイラっとした。
仕返しに何食わぬ顔をしているそやつのお腹をモフモフしてやった。
いや、動じろよ。少し怒れよ。ちょっとは構えよ。
貴様、身体だけじゃなくて、懐も大きいのか。
ちょっと悔しさを噛みしめた。
また違う日。家が掃除中でドタバタしていた。そのためか猫もそわそわしていた。
そして、通り道にいたそやつをどかそうとしたら、思いっきり引っ掻かれた。
思わず手を引くと、手の甲には薄い赤い線が入り、少し血が出てきた。遅れて痛みもやってきた。
こやつ、攻撃してきた。
そこは通り道のど真ん中。踏まれても文句は言えない場所に寝ているくせに、貴様。
怒ったままのその猫は瞳孔を細めて顔は険しい。
なんで貴様が怒ってるんだ。怒りたいのは私だよ。
でも、怒ってやらないのだ。私は大人だからな。
気にせず頭を撫でてやった。嫌がらせだ。
いつの間にかいつもの表情をしていた猫にどや顔をお見舞いしてやった。
私も懐が大きくなったのだ。
もう手の甲の傷もとっくに治ったころ、あのバトルした猫はいつの間にかいなくなっていた。詳細は知らない。
でも、後にも先にも私を台座にしたふてぶてしいお猫様はそやつだけだったのだ。
また、お腹に乗りにこないだろうか。台座になってやらんでもない。
そしたら今度は捕まえて、顔を撫でまわしてやるからな。

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